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2026.09.22

民法

相続放棄とは?手続や注意点をわかりやすく解説

こんにちは、京から相続相談室の税理士の中井です。

今回から何回かに分けて相続放棄について説明したいと思います。いくつかの論点についてみていきましょう。

1.相続放棄とは

相続人が被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切引き継がないことを家庭裁判所に申し立てる手続です。

民法第938条では、相続放棄をした者は「初めから相続人とならなかったものとみなす」と定められています。そのため、預貯金や不動産などの財産を取得することもできませんが、借金や保証債務などの負債についても引き継ぐことはありません。

なお、相続放棄は家庭裁判所で正式な手続を行う必要があり、「放棄します」と家族間で話し合っただけでは法律上の効力はありません。また、遺産分割協議書で『相続しない』とサインすることとも違っています。

 ここ、最初に重要な点であくまでも相続放棄は家庭裁判所を通じた手続きであることです。遺産分割協議書はあくまでも相続人間の意思決定に過ぎないので、何も相続しないというのはあくまでも相続人間の話にすぎません。

 
2 借金だけ放棄できる?

「借金だけ放棄して、預貯金や不動産だけ相続したい」ということはできません。相続では、プラスの財産とマイナスの財産を一体として承継するのが原則です。そのため、相続放棄をすると、預金や不動産などの財産も取得できなくなります。

一方で、生命保険金のように相続財産に含まれない財産もあります。受取人が指定されている生命保険金は、原則として受取人固有の権利となるため、相続放棄をしても受け取ることができます。


 3 3か月を過ぎたらどうなる?

相続放棄は、原則として自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません(民法第915条)。この期間を過ぎると、原則として単純承認したものと扱われ、相続放棄はできなくなります。

もっとも、この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても,なお,単純承認,限定承認又は相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には,家庭裁判所は,申立てにより,この3か月の熟慮期間を伸長することができます。3か月はあっという間なので早めに動く必要ありますね。

下記の参考記事のところでも書きましたが、相続開始後に動き出すのが遅いと期限に間に合わないリスクもあります。相続放棄を検討している方は早めに動いてください

 参考記事 相続開始後の手続き
     相続放棄は3か月以内

4 放棄後に預金を使ったら?

相続放棄を予定しているにもかかわらず、被相続人の預金を引き出したり、不動産を売却したりすると、相続を承認したと判断される可能性があります。民法第921条では、相続財産の全部または一部を処分した場合には、原則として単純承認したものとみなされます。その結果、相続放棄が認められなくなることがあります。葬儀費用の支払いなど例外もありますが、事前に相続放棄を検討している場合は、相続が発生したら相続財産にはできるだけ手を付けないことが大切です。


5 空き家はどうなる?

相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。しかし、相続財産である空き家を現に占有している場合には、次の相続人や相続財産清算人などに引き渡すまでの間、その財産を適切に管理する義務を負う場合があります(民法第940条)。

いわゆる負動産がある場合には、相続が発生したら相続放棄すればいいやと安易に考えておられる方もおられますが、このような管理義務があることに注意する必要があります。

例えば「田舎の土地建物あるけど、相続放棄するから何もしなくてよい」というわけではありませんので注意が必要です。

以前に相続登記の義務化について書いていますのでそちらもご覧ください。
参考記事 相続登記の義務化

最後までお読みいただきありがとうございました。
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