ホーム

>

コラム

Column

ブログ・コラム

2026.09.30

民法

相続放棄と空き家の管理義務

こんにちは、京から相続相談室の税理士の中井です。

引き続き相続放棄についてみていきましょう。今回から相続放棄の重要な論点について詳しく説明します。
相続放棄の記事はこちらです

こちらも相続放棄について


相続放棄をすると、「私はもう関係ない」「何もしなくていい」と考える方が多いのですが、実務ではそう単純ではありません。

 民法940条により、相続放棄をした人にも“次順位の相続人が財産管理を開始するまでの間”は、最低限の管理義務が残ります。この管理義務は、固定資産税の納税義務とはまったく別の概念です。税金は払わなくてよいものの、建物が倒壊したり、雨漏りで近隣に損害が出たり、敷地内で事故が起きたりすれば、管理を怠ったとして責任を問われる可能性があります。

 もう少し詳しく説明すると、相続人が全員相続放棄し、最終的に相続する人がいなくなると、「相続人不存在」という状態になります。この場合、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が、相続財産を管理し、債権者などへの対応を行います。民法第951条は、相続人のあることが明らかでないときに相続財産を法人とすることを定めています。その後、必要な手続きを経て、残った財産があれば、最終的には国庫に帰属することになります(民法第959条)。

 特に問題となるのが、老朽化した空き家や京都の町家のような構造が複雑な建物です。路地奥の物件は消防法上の制約も多く、倒壊リスクや近隣への影響が大きい傾向があります。相続放棄をしても、こうした建物の最低限の管理を続ける必要があり、放棄したからといって完全に手を離せるわけではありません。

 また、管理義務と「単純承認」の境界が曖昧な点も注意が必要です。管理義務の範囲を超えて修繕を行うと、財産の処分行為とみなされ、相続放棄が無効になる可能性があります。
例えば、屋根の全面修繕や家財の処分、鍵交換などは、管理義務の範囲を超えると判断されることがあります。京都の町家では近隣から「雨漏りで困るから修繕してほしい」「家屋が倒れそうになっているので修繕してほしい」と言われることがありますが、これに応じると単純承認の疑いが生じるため、慎重な判断が必要です。
 
 相続放棄は借金を避けるための制度ですが、放棄後も一定の責任が残ることを理解しておくことが重要です。特に不動産が絡む場合は、管理義務の負担が大きくなるため、早めに専門家へ相談することが望ましいと言えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
相続のご相談はお気軽に京から相続相談室へ。こちらからご連絡ください。
https://kyoto-mirai.co.jp/contact

一覧に戻る

Contact

お問い合わせ

無料相談のお申し込みやお問い合わせは
お電話または、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

「営業・セールスのお電話は固くお断りいたします」

ロゴ

京都府京都市中京区蛸薬師通高倉西入泉正寺町334番地
日昇ビル2階京都フィナンシャルパークス内

© 2022 株式会社京都未来創造研究所